その他
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【月のウサギ】
☁🌕☁
むかしむかし、あるところに
ウサギとキツネとサルがおりました。
🐒
ある日のこと。疲れ果てて食べ物を乞う老人に出会い、3匹は老人のために食べ物を集めます。
🐕
サルは山で木の実を拾い🌰
キツネは川で魚をとってきました🐟
ところが、ウサギはあちこち探し回ったのですが、何も持ってくることができませんでした。
🐇
そこで悩んだウサギは、サルに山で柴を刈ってきてくれと頼み、狐にはその柴を焚くように頼みました。
2匹は、不思議に思いましたが言われた通りにしました。
そして、、
柴に火がつき、炎が上がった時です。
🔥
「ぼくには何も差し上げる物がございませんが、あなたにぼくの持っているただ一つの物を捧げることができます。どうか心からの施しをお受けください」
言い終わるやいなや、ウサギは赤々と燃えさかるたき火の中にとびこんだのです。
すると不思議なことに、その炎は一本の毛も焼かずウサギの体を包み込みました。
ウサギの真心に打たれた老人は、たちまち輝かしい帝釈天(たいしゃくてん)の姿になり、そっと両手にウサギを抱きあげました。
『このウサギは私をもてなす物が何もないからと自分の体を犠牲にした。このような尊い行いは世界中に知らせなくてはならない。』
こうして今でも、
満月のたびに、帝釈天が描いたウサギの姿が月の面に現れて、私たちに慈悲の徳を説いてくれるようになったのです。
(「兎本生物語(うさぎほんじようものがたり)」より)
☁🌝☁
皆さんは、この物語を読んでどのように感じましたか?
私は、、
子どもの頃にこの絵本を読んだとき、ただただ『ウサギがかわいそう』と思いました。
10代の頃には、『自己犠牲はカッコいい』という妙なヒロイズムにかられ、
いまは『ウサギには、人生の中で大切なものが見つかったのかもしれない』と感じるようになりました。
人生にとって一番大切なものとは何か?
この答えは、十人十色だと思います。誰とも比べようがありませんが、誰もがそれぞれの場所で大切なものを守っています。
いま、世界中で猛威を振るう #新型コロナウイルス の影響で、この大切なものが脅かされています。
平生、何らかの圧力や理不尽な働きで「一個人に対して大切なものが脅かされる場合」、それは裁判やメディア媒体等を通して訴えることができます。
しかし全世界同時に大切な日常が奪われつつある昨今、どこに感情をぶつけてよいか分からない…という方も多いのではないでしょうか。
・・・✍
この物語に出てくるウサギは、お釈迦さまの過去世(前世)の姿であるとされております。
今日(4月8日)は、お釈迦さまの誕生日🌸
いまの世界にお釈迦さまがいたら、何とおっしゃるか・・・などと凡夫の私は考えてしまいます。
『きっと、このようにおっしゃるだろう』…と分かったような顔で、仏教用語を説くことは避けるべきだと感じています。
なぜなら、今まさに火の中で身を焼かれる思いで生活をされている方が大勢おられるからです。
まずは、日常の生活を最優先に。
経済活動や人の流れそのものを制限されてしまった世界で、いま何が起こっているか、いつまで続くのか。
この現状に、まずはしっかりと向き合う必要があると考えております。
当山でも、できる限りの感染予防対策を講じ、参詣者の方の不安を少しでも払拭できるよう努めて参ります。
(また、ご供養の小規模化・やり方については個別のご相談に応じております。)
人間には、弱い部分がたくさんあります。
それは、お釈迦さまの時代から変わらない苦しみの種でもあります。
しかし、過去から学び「考える」ことはできます。
この物語の主人公は、ウサギですが
キツネもサルも同じ世界の住民であり、それぞれが与えられた課題や最適解を探して生きています。
誰にどんなことができるのか、してはいけないのか。
いま、あらためて「人生にとって一番大切なものを見直してみませんか」
🌝
ときに今夜は、「スーパームーン」
月が地球に接近して、普段より大きく見える満月の日です。
もしかしたら、
空の上からウサギさんが『自分が去った後の世界は、どうなったかな?』とのぞいているかもしれません🐰
《おうちの方へ》(補足事項)
・このお話は、「布施行(ふせぎょう)」を説く仏教説話です。布施とは、金品に限らず「分け隔てなく施すこと」を表します。※ただし、これは「何でも我慢だ」「捨て身になれ」ということではありません。
・他人から見れば、「そんなことに命をかけてどうなる」と思うようなことがあります。ですが、人生をかけて熱中するものや人に出会えたことは、幸せなことかもしれません。
・「命を大切に」ということは、言うまでもありませんが、「頂いた命をどう使うか」ということをこのウサギは教えてくれたのだと思います。
#ジャータカ物語
#三獣行菩薩道兎焼身語
#花まつり
#StopTheSpread
(文責:崇元)